小川 鼓太郎の世界

小川 鼓太郎(おがわ こたろう)

東京都出身。東京都立青梅総合高等学校卒業。2020年1月、『TAMAアンサンブルフェスタ』において管打八重奏を演奏し金賞を受賞。2022年、令和4年度東京都高等学校文化祭軽音楽部門大会(第15回高校対抗バンドフェスティバル)にて、バンド『かまし隊』のDr.で参加し本戦出場。作曲、音楽理論を清水 昭夫、ピアノを末木 裕美各氏に師事。小学校では合唱団、中学校では吹奏楽部、高校では軽音楽部に所属していた事で様々な音楽に触れながら育ち、中高では打楽器、及びドラムを担当していた。 YouTubeにてアーティスト『鼓 戀』の名義でも作品を発表している。

2024年度

作品発表演奏会
 日時:2024年12月20日(金)
 会場:シルバーマウンテン1F

室內樂ノ爲ノ小品集『近代的素描【夙夜】』

近代とは音樂史に於て凡そ20世紀初頭から戰前を指す。代表的な作曲家ではClaude Achille Debussy氏や吾の敬愛せるJoseph Maurice Ravel氏らが其れ迄の保守的な和聲學や樂式を類稀成る才能を偕にせし上で無視し、多くの挑戰的な作品を書きつ。吾等が今日次〻に轉調を繰り返したり、全音音階や空虛5度を用ゐたりする曲に對して嫌惡感を示さゞる所以は、多くの批評を押し切り書き續けたる彼等の功績の爲ならむ。
初學の身で有る吾が數十年もの閒で完成せらるゝ近代音樂を書かうとするは些かなるが、彼等の書いた音樂が色彩豐かなる繪畫だと表せば吾の書く音樂が大變些かなれど白黑で槪型を模した素描で有れば此の初學の一年の學習の證明と成るだらうと考へ、三曲夫〻の題材が朝晝夜で有る事を表す【夙夜】と偕に、恐れ多くも曲の名としつ。

第一曲【葉ノ目覺】
五音音階や平行和音に依り朝ぼらけを表現せし處から曲が始む。途中屬九の和音を用ゐた轉調に於て如何に旋律を形作り自然に聽かするかといふ事に盡力しつ。
第二曲【海ノ燈】
海の燈とは此の曲では照り輝く靑き海に太陽の光が反射し、幾つも燈が有るかの如く見ゆる樣を表してゐる。 琉球音階といふ限られた音使ひの中でポリヽズムや變拍子、轉調を用ゐて展開していく處に注目されたい。
第三曲【烏ラ霞】
烏ラ霞(からすらか)と讀む。眞夜中、縱橫無盡に黑い霞の如く飛び回り空を覆ひし烏の群れを描寫しつ。 途中、カデンツアで挾まれた一から四、そして四から一小節のパツセージは往きつ歸りつといふ烏の歸巢を表しつ。 又、曲名の(からすらか)も回文と成つてをり、反對から讀んでも同じ事で歸巢を表しつ。

録音・録画会 in Summer 2024
 日時:2024年8月28日(水)
 会場:シルバーマウンテン1F

ピアノ三重奏ノ爲ノ奏鳴曲『月ノ身體ト失シ彌榮』依リ

本來此の作品はソナタ形式に依る四樂章で構成されてをり、其の全體を以てして一つの物語と成つてゐるのだが、初演は演奏時閒の都合上、第一樂章、第二樂章の演奏而已とした。
全體としては月に定住する民族が、其の寶で有る月の水を目當てに、他の星から襲來せし列强に迫害され、月の水は疎か彼等の獨自の文化迄も總て列强の手に依り滅されて仕舞ふといふ、架空の物語を作曲の發端とした。畢竟、此の第一樂章と第二樂章は列强に襲はれる前の幸福なる民族の樣子を描いてゐる爲、何處か民族の踊りの音樂の樣な情緖を感じる物と成る樣盡力した。
第二樂章については偉大なる『樂聖』、Ludwig van Beethoven氏の傑作『悲愴』の第二樂章を參考にして書いた。彼の作品の中に表れてゐる美しさの中の、故鄕を尊ぶ樣な寂しさを、弦樂器を伴ふ物としては處女作で有り乍ら表現出來てゐたら、此程嬉しい事は無い。 第二樂章では私の今作の目標で有つた現代的な轉調の仕方と古典的な編成との融合にも注目されたい。

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