凌 涛の世界

凌 涛(りょう とう)

中国浙江省杭州市出身。浙江音楽学院電子オルガン専攻卒業。第六回吟飛国際電子オルガンコンクール管弦楽部門で三等賞を受賞。2017年度後期優秀学生奨学金二等賞、2018年度優秀学生奨学金一等賞、優秀専攻奨学金二等賞、浙江省政府奨学金、2019年度芸術実践奨学金を授与される。これまで、電子オルガンを任雪菲氏に、作曲を龐莉氏の各氏に師事。作曲を大竹くみ、作曲理論を原田愛の各氏に師事。

2023年度

大学院 作曲専攻 作品発表演奏会
 日時:2024年2月20日(火)
 会場:洗足学園 前田ホール

Three Fantastical Pieces for Woodwind Quintet

これは、木管五重奏のために、2023年10月に着手し、2024年1月に完成した作品です。具体的な何かを表現するというより、想像に基づいて創作した物語を音で語ったものである。この曲では、リズムの変化や多様な音程を交錯させることで、今まで書いたことのない音の世界に挑戦しました。
I
一曲目のキーワードは、スタッカートとレガートです。それぞれの楽器の様々な音域のスタッカートやレガート奏法を対比的に使いました。さらに、4度を重ねた和音やミニマル・ミュージックなどの要素を加えて、曲全体がミステリアスな雰囲気になる様々な工夫も試みました。
II
二曲目のキーワードは、リズムです。曲のテーマは冒頭で提示され、その後に変奏曲風の展開が続きます。展開する中で、モチーフは絶えず分解され、変容を続け、各々の楽器によって波のように拾われます。
III
三曲目のキーワードは、音程です。2度の音程を、この曲では多く使い、それによって導かれる世界観を重視しました。

録音・録画会 in Summer 2023
 日時:2023年8月30日(水)
 会場:シルバーマウンテン1F

《ぼくは言う》

《ぼくは言う》は、ソプラノとピアノのために、2023年7月に書いた作品である。歌詞は、谷川俊太郎による同名の詩《ぼくは言う》から選んだ。
曲全体は詩と同様に4段に分かれている。1段目と2段目は、「水を飲む」、「呼吸する」、という日常の中での当たり前な行為でありながら小さな幸せを実感できる瞬間を描写している。ここでは旋律、伴奏と共に流れるようで、全体的に明るい雰囲気にした。3段目に入ると、世界観は一変する。大きくて美しい鯨に比べたら、人間なんてちっぽけな存在。ここでは、これまでの流れるテーマが崩れ、疑問を投げかける。4段目は、朝の道を駆けてゆく子どもたちを見つめるシーンである。未来の可能性を秘めた子供に対する希望と相反する不安を叙情的に表現した。ここで、曲全体がクライマックスに入る。

2022年度

2022年度 研究・修了演奏
 日時:2023年1月12日(木)
 会場:洗足学園 前田ホール

String Quartet “E-motion”

録音・録画会 in Summer 2022
 日時:2022年8月29日(月)
 会場:シルバーマウンテン1F

《Rain Dance》

打楽器三重奏《Rain Dance》は、日本の雨の情景をイメージして、2022年7月に作曲した作品である。日本の5、6月の雨はいつもにわか雨なので、そのような情景を4つの楽章で表現した。
第一楽章では、より静的な第1主題で始まり、より運動的な第2主題へと発展していく。この2つの主題の対比で、降り始めの雨を表現している。第二楽章に入ると、テンポが速くなり、声部全体に動きが出てきて、音符の密度も非常に高くなる。雨が徐々に大きくなっていく様子を表現している。第三楽章では、テンポが落ちて、リズムも少し自由になっている。雨が一時的にやんだみたいな様子が描かれている。第四楽章は全曲のクライマックスで、テンポの速さと声部の強弱の対比的な変化を多用しながら、声部全体が再び動き出す。大雨は風と混ざっている様子が描かれている。

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