蓮田 望美の世界

蓮田 望美(はすだ のぞみ)

カナダ出身、日本人の父と香港人の母をもつ。
上智大学経済学部経営学科卒業後、商業不動産の会社に就職。財務を通してキャリアを積むが、音楽家を志し退職。作曲を齋藤圭子、相澤直人に師事、ピアノを新屋里沙、古川貴子に師事、バイオリンを中一乃に師事。
上智大学在学中、葉加瀬太郎作曲「ひまわり」をクラシックギターアンサンブルのために編曲し、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールで演奏され好評を博す。
混声合唱団Albaporta団員として活動中。

2021年度

作品発表演奏会
 日時:2021年12月21日(火)
 会場:シルバーマウンテン1F

陣中日記

曽祖父である蓮田善明の著書「陣中日記」の詩を用いて作曲した。「想い」「偶詩」「紙風船」の3曲で構成されている。
「陣中日記」はその名の通り、曽祖父が戦地に赴いた際に書かれた作品である。いずれの詩も情景が目に浮かぶような詩である。しかし、文学的背景を鑑みると、作曲に際して、ただの美しい曲に仕上げるわけにはいかなかった。
曽祖父は中学教師であったが、古典研究への想いやみがたく、教職を辞して広島文理科大学へと進学。
「みやびの精神」を追求した曽祖父の作品はいつも「死」とともにあった。それは、前向きな「死」である。
「如何に生くべきか」と「如何に死すべきか」。この2つの問いの本質は表裏一体であると、曽祖父は考えていたようだ。「陣中日記」は、おそらく死を覚悟した者の立場からみた景色そのものであろう。しかし、曽祖父にとっては、同時に最も「生」を実感し得た時だったようである。
前述の通り、「ただの美しい曲」にならないように作曲したつもりである。戦時体制下にあって古典の伝統の復活を説いた曽祖父の作品は、戦後黙殺の状態であったが、その時代から距離を置いた今、微力ながら作品に新たな息吹をもたらすことができれば幸いである。


録音・録画会 in Summer 2021
 日時:2021年8月30日(月)
 会場:シルバーマウンテン1F

麦藁帽子

本作品は、ソプラノ歌手とピアノ伴奏による歌曲である。詩は、昭和初期に活躍した詩人、立原 道造(たちはら みちぞう、1914年-1939年)による草稿「麦藁帽子」。眺めるだけで夏の薫りが立ち昇ってきそうな、大変美しい詩である。
作曲にあたり、詩の美しさをそのまま表現すべく、日本語のもつリズムをソプラノ歌手によるメロディーに表現した。また、ピアノ伴奏をメロディックに仕上げ、歌とピアノが呼応するような音楽を目指した。

Lascia ch’io pianga

ヘンデルの作曲したオペラ《リナルド》(1711年)の中の有名な一曲、アルミレーナの叙唱・アリアと同じ詩を用いて、ソプラノ歌手とピアノ伴奏による歌曲を作曲した。
宗教対立の末、囚われの身になったアルミレーナは敵軍の王に求愛されるが、愛するリナルドへの貞節を守るため「過酷な運命に涙を流しましょう」と歌う。アルミレーナはリナルドの助けを待ちながら涙を流しただろう。しかし今回は、哀しみに暮れつつも自らの力で脱出を試みるような強い女性を表現しようと考え、エネルギッシュな曲に仕上げた。危機的状況を自身で突破する、現代的なヒロインの歌である。ヘンデル作曲のものとは全く別の「21世紀版」として聴いて頂ければ幸いである。