古澤 響子の世界

古澤 響子(ふるさわ きょうこ)

神奈川県出身。東京学芸大学付属高等学校、日本女子大学卒業。在学中、成瀬仁蔵記念賞受賞。
四十の手習いのリコーダーがきっかけで和声の面白さに目覚め、いきおい作曲の勉強を始める。第5回おぢか国際音楽祭「島のメロディ作曲コンクール」で優秀賞受賞。作曲を面川倫一氏に師事。ピアノを東山洸雅氏、リコーダーを渡辺清美氏に師事。
リコーダーコンソート青葉にてホルスト《セントポール組曲》、テレマン《アリア(ドイツマニフィカトより)》をリコーダーアンサンブルのために編曲し、定期演奏会などで演奏され好評を博した。

2022年度

作品発表演奏会
 日時:2022年12月20日(火)
 会場:シルバーマウンテン1F

《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ハ短調》より 第一楽章

三楽章構成で、第二楽章は複合三部形式、第三楽章はロンド形式である。ハ短調には鉛色のイメージを持っている。うねる波のような第一主題に対し、光と軽やかさを感じる第二主題は平行調で、そのスタカートの性質を受け継いだコデッタが続く。展開部はピアノの低音部とヴァイオリンによる第一主題の掛け合いで始まる。第二主題は四声で展開し、その頂点ではワルツが聞かれる。再現部では楽節の長い再提示の方により重きを置いて、悲劇性を強調した。同主長調で再現される第二主題と続くコデッタの束の間の明るさは、コーダの陰鬱さを際立たせる。今回演奏を快く引き受けてくださった賴近友莉奈さん、三浦琢磨さんには心から感謝いたします。


録音・録画会 in Summer 2022
 日時:2022年8月29日(月)
 会場:シルバーマウンテン1F

《ピアノのための変奏曲》

二年前に書き始めたが、頓挫。再挑戦の今回、録音会の存在と演奏してくださる石﨑美希さんのお陰で完成に至り、心より感謝いたします。

Theme / ヘ長調  一声で始まり徐々に声部が広がる。刺繍音、順次および半音進行が特徴。
Var.1 / ヘ長調  内声に無窮動の新しい旋律。
Var.2 / ヘ長調  Themeが内声に。三連符の軽やかな動きで。
Var.3 / ヘ長調  アタッカで開始。Themeの和声進行を維持しつつ鍵盤上を自在に駆け巡る。
Var.4 / 変ニ長調 穏やかで歌謡的なシチリアーノ。
Var.5 / ヘ長調  Var.4と対照的な戯けたキャラクター。
Var.6 / ニ短調  階梯導入を用い、四声部でTheme冒頭のモチーフが展開される。
Var.7 / へ長調  Theme冒頭の逆行(刺繍部は反行)がモチーフ。
Var.8 / ニ短調   内声におかれたThemeはへ長調のときと同じ音である。
Finale / ニ短調 刺繍音に特化したvariation。最後に曲冒頭の四音「AABA」が現れる。

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