古澤 響子の世界

古澤 響子(ふるさわ きょうこ)

神奈川県出身。日本女子大学卒業。四十の手習いのリコーダーがきっかけで和声の面白さに目覚め、いきおい作曲の勉強を始める。第5回おぢか国際音楽祭「島のメロディ作曲コンクール」で優秀賞受賞。作曲を面川倫一、松下倫士、作曲理論を照屋正樹、大江千佳子、ピアノを東山洸雅、浦壁信二、リコーダーを渡辺清美の各氏に師事。リコーダーコンソート青葉にてホルスト《セントポール組曲》、テレマン《アリア(ドイツマニフィカトより)》をリコーダーアンサンブルのために編曲し、定期演奏会などで演奏され好評を博した。

2024年度

作品発表演奏会
 日時:2025年1月12日(日)
 会場:洗足学園 前田ホール

編曲 プロコフィエフ作曲 ピアノソナタ第6番より 第4楽章

左右の手ともに線の動きを中心に構成されている音楽なので、楽譜に書かれていない潜在的な和音を想像し、それにふさわしい楽器を当てはめていきました。演奏時間の都合上、複数箇所カットしましたが、いかに自然に繋ぐかにも知恵を絞りました。ピアノ演奏時の速度よりある程度遅くなると思いますが、パーカッションによる躍動感、オーケストラならではの豊かな響き、多彩な音色でこの作品がどう生まれ変わるか楽しみです。想像通りに行かなかったところは原因を明らかにし次に生かしたいと思います。

フルートとピアノのための小品

 秋に訪れたベルリン。どんよりとした空の下、どこの教会からとも知れず響いてくる鐘の音、そこで感じた漠たる不安を自由なソナチネ形式で表現した。
 ピアノで奏でられる、鐘の濁った音、しとしと降る雨のように繰り返される陰気な旋律(雨のモティーフ)に被せてフルートが寂しさを歌う。遠隔調の第2主題は雨のモティーフを素材にしている。動きのある楽想で光が差すのも束の間、再び陰気な空気に支配され曲を閉じる。
 演奏を快く引き受けてくださった、フルートの津坂和実さん、ピアノの柳田菜々子さんに心より御礼申し上げます。

録音・録画会 in Summer 2024
 日時:2024年8月26日(月)
 会場:シルバーマウンテン1F

Ballade for Brass Quintet

 これまで身近に聴くことがなかった管楽器を学びたく、昨年度後期のオーボエの小品に続き、今回は金管五重奏曲に取り組んだ。  
 c-mollのソナタ形式単一楽章。様々な曲想の入れ替わりを物語の場面に見立てBalladeと名付けた。同音連打が特徴の第1主題に対し、歌謡的性格の第2主題はⅥ調のAs-Dur。展開部前半では第1主題の同音連打の要素と第2主題を組み合わせ、展開部後半ではコデッタで登場した3連符を用い、金管楽器らしいファンファーレで頂点を迎える。同音連打をきっかけに再現部に戻ってくるが第2主題はまずB-Durで現れたのちに第1主題の同主長調C-Durに転調する。最後は第1主題由来の暗い曲想のコーダで幕を閉じる。  
 古典的な調性音楽はひとまずこの作品で最後とし、次作品からは調性から離れた作品に挑戦したいと考えている。  
 演奏を引き受けてくださった、トランペット菅原悠真さん、天野雄太さん、ホルンの加藤壮一郎さん、トロンボーンの森田堅人さん、チューバの南迫奏太さんに心より御礼申し上げます。

2023年度

作品発表演奏会
 日時:2023年12月19日(火)
 会場:シルバーマウンテン1F

3つの小品~オーボエとピアノのための~

この度初めて管楽器のための作品を書くにあたり、長いフレーズが特に美しいと感じるオーボエを選んだ。歌謡的な三部形式2曲と、テンポの速い器楽的要素の強いロンド形式1曲による組曲である。
Ⅰ. Nostalgie
ノスタルジーには郷愁、懐古の意味があるが、この曲のタイトルは後者それも悲しみに近い感情を表す。やりきれない寂しさをg-moll、下降音形で表現した。良き思い出を感じさせる中間部の明るい曲調は、前後の陰鬱さを際立たせている。
Ⅱ. Berceuse
母親の腕中の柔らかさを、極力ドミナントを使わないことで表した。冒頭から最後まで一貫して保続されるG音は鼓動である。中盤の転調、終盤の準固有和音は、眠りに落ちる前のわずかな不安を表現している。
Ⅲ. Rondo
ABACABAによる大ロンド形式でAはさらにabaに分かれている。
オーボエとピアノのユニゾンで勢いよく始まる。C後半は対位法的であり、続くロンド主題導入部までそれが続く。挿入部では1. Nostalgieの旋律、Ⅱ. Berceuse の保続音を回帰させて組曲としての統一を図っている。

演奏を快く引き受けてくださった、オーボエの福田真弓さん、ピアノの柳田菜々子さんに心より御礼申し上げます。

録音・録画会 in Summer 2023
 日時:2022年8月29日(火)
 会場:シルバーマウンテン1F

まど・みちおの詩による6つの歌曲

Ⅰ . とんぼの はねは
Ⅱ . ナマコ
Ⅲ . ことり
Ⅳ . トウモロコシ
Ⅴ . チョウチョウ
Ⅵ . ケヤキ

 まど・みちお(1909 ~ 2014) は幼少時のある朝、目覚めたら母親と兄妹が台湾へと旅立ち、祖父と自分だけが取り残されていたという実に悲しい経験をしている。不遇の詩人の多くが、屈折した心を持ちながら詩を詠んだのに対し、みちおはその経験を昇華させるだけの器を持っていたのであろう、彼の詩は常におだやかで、愛にあふれる眼差しがあらゆるものに向けられている。
 数多く書かれた動植物の詩の中から6 つを選び、緩・急を織り交ぜて組曲に仕上げた。居心地悪そうにしている「ナマコ」や小人の列車としての「トウモロコシ」、眠っている「チョウチョウ」など、みちおの限りない優しさとユーモアが僅かでも表現できていれば幸いである。
 最後に、演奏者の中村文美さん(Sop.)と柳田菜々子さん(Pf) に心より感謝申し上げます。

2022年度

作品発表演奏会
 日時:2022年12月20日(火)
 会場:シルバーマウンテン1F

《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ハ短調》より 第一楽章

三楽章構成で、第二楽章は複合三部形式、第三楽章はロンド形式である。ハ短調には鉛色のイメージを持っている。うねる波のような第一主題に対し、光と軽やかさを感じる第二主題は平行調で、そのスタカートの性質を受け継いだコデッタが続く。展開部はピアノの低音部とヴァイオリンによる第一主題の掛け合いで始まる。第二主題は四声で展開し、その頂点ではワルツが聞かれる。再現部では楽節の長い再提示の方により重きを置いて、悲劇性を強調した。同主長調で再現される第二主題と続くコデッタの束の間の明るさは、コーダの陰鬱さを際立たせる。今回演奏を快く引き受けてくださった賴近友莉奈さん、三浦琢磨さんには心から感謝いたします。


録音・録画会 in Summer 2022
 日時:2022年8月29日(月)
 会場:シルバーマウンテン1F

《ピアノのための変奏曲》

二年前に書き始めたが、頓挫。再挑戦の今回、録音会の存在と演奏してくださる石﨑美希さんのお陰で完成に至り、心より感謝いたします。

Theme / ヘ長調  一声で始まり徐々に声部が広がる。刺繍音、順次および半音進行が特徴。
Var.1 / ヘ長調  内声に無窮動の新しい旋律。
Var.2 / ヘ長調  Themeが内声に。三連符の軽やかな動きで。
Var.3 / ヘ長調  アタッカで開始。Themeの和声進行を維持しつつ鍵盤上を自在に駆け巡る。
Var.4 / 変ニ長調 穏やかで歌謡的なシチリアーノ。
Var.5 / ヘ長調  Var.4と対照的な戯けたキャラクター。
Var.6 / ニ短調  階梯導入を用い、四声部でTheme冒頭のモチーフが展開される。
Var.7 / へ長調  Theme冒頭の逆行(刺繍部は反行)がモチーフ。
Var.8 / ニ短調   内声におかれたThemeはへ長調のときと同じ音である。
Finale / ニ短調 刺繍音に特化したvariation。最後に曲冒頭の四音「AABA」が現れる。

PAGE TOP