後藤 冴紀の世界

後藤 冴紀(ごとう さえき)

東京都出身。東京都立富士森高等学校卒。洗足学園音楽大学音楽学部作曲コース所属。中高6年間吹奏楽部に所属し、それぞれトランペット、トロンボーンを担当。特に高校時代の活動の中で吹奏楽の虜になり、作曲を志す。DTMを用いたポップス曲や音MADの作成の経験を活かし、また本学を通して和声法などを新たに習得することでクラシックとポップスの良さ双方を含んだ柔軟な音楽を作ることを目指す。作曲理論・技法を伊藤康英、ボーカルを松原ヒロの各氏に師事。

2025年度

作品発表演奏会
 日時:2025年12月23日(火)
 会場:シルバーマウンテン1F

吹奏楽のための交響詩『旭輝く丘』

 この作品は全四楽章で構成されていますが、本演奏会においては演奏時間を間に合わせるため第二楽章をカット、残りの楽章についても短縮して演奏されます。
この曲は漫画及びアニメ「のんのんびより」の風景画に強いインスピレーションを受けて作られています。内容としては、辺境の地にある村とそこでの人々の生活を描写した日常系アニメですが、特筆すべきことは情景描写に非常に長く尺を使っている所です。それによって世界観に強く引き込まれるのです。また、このアニメの聖地とされる埼玉県比企郡小川町に実際に降り立ち、自然と触れ合いました。その影響は特に第一楽章で色濃く反映されています。

【第一楽章「田園風景」】
 山、畑、田んぼ。見渡す限りの緑。そしてそれを照らす旭。日本らしいのどかな風景が広がる。
 次に、ある少女にピントが向けられる。
 少女はリコーダーを吹くのが好きで、田んぼ道を歩きながらリコーダーを奏でる。すると友人が現れ、そこから徐々に輪が広がっていく。
 そういった情景を想像しながら書きました。
 序盤にリコーダーにより奏でられる主題は全楽章を通して断片的に現れます。いつも物語の中心には少女と、それを包み込む豊かな自然があるのです。

【第三楽章「天災」】
 自然もいい事ばかりではありません。時に、その圧倒的な力はこちらに牙を向いてきます。
 ここでは日本で特に猛威を振るっている「台風」と「津波」に焦点を当てました。湿度の高い土地が、水の力で我々を苦しめるのです。
 この楽章では今までの穏やかな雰囲気とは一転し、緊張感の高い音楽に変わります。また、初めて短調が主調として使われます。
 後半の「津波」の部分では水に関連して、レスピーギのローマの噴水よりトレヴィの泉から低音のメロディを借用しています。ただし、レスピーギはホ長調の中で用いていますが、こちらでは同主短調の中で使うことで同じメロディでも全く違う風景を映し出します。

【第四楽章「コーダ」】
 物語はクライマックスへ。田園にとっての「夜」が過ぎ去り、再び旭が昇ります。
 人々は未来に希望を抱き、また歩み始めるのです。
 第一楽章のメロディがより華やかに演奏され、最後は壮大なtuttiで終了。

作品収録演奏会 in Summer 2025
 日時:2025年8月28日(木)
 会場:前田ホール

吹奏楽のためのアリアと踊り

本曲は大きく二つの楽章に別れており、各楽章にて用いられるメロディは歌曲作曲研究‬の授業で作成したメロディの引用である。‬
その中でもイタリアのアリアからの引用であるため、このようなタイトルとなった。‬
冒頭に四度和声によるモチーフがあり、これは第二楽章でも使われる。‬

第一楽章は三拍子のアリアで、メロディの元となった歌詞はリヌッチーニの《‬Lasciatemi‬‭ morire‬‭》‬‭ で‬‭ある。暗い歌詞であることから音楽は全体を通してC minorで進行する。特に終盤は『私を死なせて』という悲痛な叫びであり、これは何度も繰り返される。Tpのソロの後に急激な加速を伴いながら第二楽章へ移る。

第二楽章は複合拍子で非常に軽快な踊りの曲になっている。3+3+2+2のリズムを基本としながら発展させている。半音階的なモチーフと歌曲的なメロディのふたつがあり、いずれも元となった歌詞はミナートの《O cessate di piagarmi》である。こちらも暗い歌詞であるため、minorで進行する。一度音楽が最高潮に盛り上がった直後、冒頭の四度和声によるモチーフが変形されて現れる。そのまま四度和声の緊張感と神秘性を保ったまま音楽は第二の頂点へ。一転して荘厳な音楽へと移り変わる。ここでは第一楽章のメロディをMajorに移調し引用。華やかなファンファーレとともに進んだ音楽はまた停滞しエンディングへ。再び加速した音楽は勢いを持ったままクライマックスに向かい、重厚なE♭の和音で終了。

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