
田中 竜一(たなか りゅういち)
神奈川県出身。会社員を経て入学。作曲を伊藤康英、菅原真理子、音楽理論を市川景之、森田敦文、ピアノを門倉美香、相良都史佳に師事。高校及び既卒大学では吹奏楽部でユーフォニアム、会社員時代は5年間合唱団でバスを担当。吹奏楽コンクールで上位大会出場経験あるも、当時演奏に精一杯。だいぶ年月経つも、音楽をきちんと学び今後に役立てたく思い勉強中。年行っての音大入学は「ぶってよ、マゼット:47歳の音大生日記」(池田理代子/中央公論新社)の影響大。この歳で音楽を学べる事に感謝。
2025年度
作品収録演奏会 in Summer 2025
日時:2025年8月28日(木)
会場:前田ホール
《Piacer d‘amor》(愛の歓びは)
《O cessate di piagarmi》(私を傷付けるのをやめるか)
《Lasciatemi morire!》(私を死なせて)
「三つのイタリア古典歌曲集」
下記参考文献より三曲取り出し、私なりの解釈で曲を付けた。日頃一般には馴染みの薄いイタリア語の歌詞を扱う上で、曲が支えとなる様に、分かり易い旋律を心掛けた。
1.”Piacer d‘amor” (愛の歓びは):ニ短調
詩:ジャン・ピエール・クラリス・ド・フロリアン
不実の愛人に悩み「愛の苦しみは一生」と歌う物だが、ジャン・ポール・マルティーニによる曲は明るく平易な曲調で、酒場で自虐的に笑い飛ばすかの様な仕上がり。よって曲のみが皮肉にも結婚式の披露宴でかかる事が多い、が本曲の定番説明。このマルティーニの曲を基に甘い詩を付け、”Can’t Help Falling In Love”(好きにならずにいられない)として歌ったエルヴィス・プレスリー版が有名。
ここでは原詩の趣に忠実に曲付け。中間部は回想を表現。
2.”O cessate di piagarmi” (私を傷付けるのをやめるか):ヘ短調
詩:ニコロ・ミナート
アレッサンドロ・スカルラッティ作曲のオペラ「ポンペオ」でセストが歌うアリア。言わば「片思いの辛さ」を歌った物。A-B-Aの3つの部分から成るダ・カーポ形式のアリアで、8分の6拍子のシチリア風のリズム。
ここではこの形式を踏襲も、前後奏は「辛さ」を「突き放された厳しさ」と捉え表現。
3.”Lasciatemi morire!” (私を死なせて):変ロ短調
詩:オッターヴィオ・リヌッチーニ
クラウディオ・モンテヴェルディ作曲のオペラ「アリアンナ」で歌われるアリア、「アリアンナの嘆き」として知られる。怪物ミノタウロス征伐に来たテセウスに恋したアリアンナが、結婚を条件に征伐後に迷宮から脱出する方法を教えるも、結局は捨てられてしまう話。
ここではアリアンナがハープを奏で独り歌う様を想像、前奏はそのハープを、中間部の三連符の連続で不条理を表現。
ソプラノ:小谷幸生、ピアノ:佐藤虎博の両氏に感謝。
参考文献:「イタリア歌曲集1 中声用[新版]」(畑中良輔/全音楽譜出版社)